1999年度夏合宿レポート(於:伊豆・片瀬白田)



▲熱川バナナワニ園にて

 1999年8月12〜15日、伊豆の片瀬白田にて開門拳社の夏合宿を行いました。
総勢約14名、体育館付きの合宿所で生活を共にし、普段以上に練習に集中できました。
 呉氏開門八極拳の研鑽はもちろんのこと、夕食後の懇親会では、普段会わない曜日の会員同士も親睦を深め、また、自主的に、昼間の練習での疑問点をチェックしあったりと、非常に有意義な4日間となりました。

 

会員の合宿レポート&記録写真


▲八極対打

1999年度の開門拳社夏合宿は、3泊4日の日程で伊豆のリゾート地にて行われました。
 今回の合宿では、八極対打を中心に練習を行う予定でしたが、先生が体育館を探索していたところ、人数分の棍を発見されたらしく、これぞ天の采配とばかりに棍の練習となりました。

 毎週行われている教室での練習では、1.8mほどの棍を振り回すスペースがなく、なかなか思い切って棍をまわすということができません。
今回は会場がかなり広かったため、天井や物にぶつける心配もなく、はじめて棍の練習をしているというような感じになりました。
 まずは棍の基本功として、体の両側面を通して棍をまわす「舞花」、舞花をしながら体を転身させる「舞花翻身」、棍で下方から切り上げる「小提柳」の三種類を教えて頂きました。
 動き自体は以前にも教えて頂いたことがあったのですが、いざこれらの動作をしてみるとなかなか思ったように動くことができず、棍を床に落とすわ、脛にぶつけるわで大変な思いをしました。
 本来ならば、ある程度基本功ができるようになってから套路の学習に入るのでしょうが、一日二日でまともに基本功ができるようになるはずもなく、とりあえず行者棒を一通り覚えることを目的に練習が始まりました。
 行者棒の学習に入る前に、全套路を一通り見せて頂きました。行者棒は棍の套路だと思って見ていたのですが、途中で・拿・扎の三動といった槍の技法が入ってきたりいつも練習で行っている基本功の動作が随所にみられるなど奥深そうな套路でした。また、結構長い套路であったため、4日間で本当に覚えきれるものなのかとも思いました。

 套路は「行者問路」という定式までを一区切りに、いくつかのパートに分けて教えて頂きましたが、実際套路の練習を始めてみると、案の定つまづくことの連続でした。
 徒手套路ならばゆっくりとした動作を見れば、ある程度理解はできるのですが、棍の場合にはある程度速くまわす必要があるため、真似ることすら大変な状態でした。
 套路の練習をしているうちに、いつの間にか棍の持ち方がおかしくなっていたり、足の位置が左右逆になったりしたため、そのつど修正を加え、なんとか套路を覚えようと必死でした。
 前半部分は繰り返しが多いために混乱することが多かったのですが、後半部分になってくると動作そのものが難しくなっていったような感じがしました。

 合宿4日間を通して行者棒の練習を行った結果、細かい所はまだ分からないところが多いにしろ、なんとか一通りの套路を学習し終えることができました。
 今回の合宿では基本を飛ばして套路の練習に入ってしまいましたが、今後は基本をきっちり練習しつつ、徐々に套路を練り上げていこうと思っています。

(須藤 覚)

 


▲八極対打

 
合宿所に着いてしばらく休憩した後、第1日目の練習が始まりました。
 合宿参加前には、1日目の練習は午後の半日だけなので、そんなに大変ではないだろうとたかをくくっていましたが、それは大きな間違いでした。
1日目の練習は、開門八式等の基本功を中心としたメニューでした。練習は熱気のこもった体育館で行われたこともあり、暑さに弱い私は、長拳基本功だけで身体が思うように動かなくなってしまいました。
 開門八式が始まった時には既にばてており、冲拳で打った際に後ろ足の引き寄せが思うように行かずに馬歩が崩れてしまうなど、形が崩れる個所が多く見受けられました。
 沖拳の際に馬歩が崩れる原因として、馬歩が正しく身についていないという可能性もありますが、疲れている時に馬歩が崩れてしまうのは、沖拳を打ち出し馬歩になる際に、余計な力が入っているせいかもしれません。余分な力を使っているからこそ、疲れている時に、正しい形をとれないのではないかと感じました。
 1日目の練習はほんの3時間程度でしたが、2リットルもの水分補給をしました。それほど汗をかいていたようです。
 思いのほか疲れたものの、ここでの基本功の練習は、得るものがあったと感じています。

 2日目から、行者棒の練習を行いましたが、棍の基本功は土曜日の教室で少し教わっていたものの、まったく身についているとは言えす、練習について行けるかどうか不安でした。しかし、合宿参加者のほとんどが、棍に関しては初心者であったため、基本功、套路とも、ゆっくりと丁寧に教えていただいたため、安心して練習できました。

 合宿で棍の練習を行った理由として、合宿所の体育館が広く、棍の練習にむいていることと、棍の練習を通じて、八極拳に必要な身法を身につけるためとのことでした。
 身法が不自由であるという点は、日頃先生より指摘されていることであり、また、六肘頭対打等を行う際に、身法の無さを痛感していたことから、身法を身につけることは重要な課題でした。また、以前から棍を学びたかった事もあり、合宿で棍を学ぶことは、願ってもない幸運でした。
実際に棍の基本功をやってみると、身体を左半身、右半身と切り替えていかないと、棍を振り回す際に、棍がまっすぐに回らず、8の字を描くようになってしまい。正中線で正しく打つことができないため、身法の大切さを改めて実感しました。

 行者棒の套路は、他の徒手套路と比べ、八極拳特有の力強い発力を行う個所は少ないと感じました。しかし、やはり行者棒も八極拳の一部であり、行者棒の練習でためになることは、身法だけではない事が、練習を進めていくうちにわかってきました。
 行者棒の套路には、跟堤歩や盤提歩を使うところが多くあり、また、撹棍では胯の使い方が小架一路の翻胯と同じで、徒手套路とも共通する部分が意外に多い事が分かりました。
 徒手套路を行う際に、発力しようという意識から、つい余計な力が入ってしまうという癖があるのですが、行者棒は慣れないためか、比較的力を抜いて動作を行うことができました。これからも、徒手套路と行者棒をバランス良く練習することで、余計な力が入ってしまう癖を直すことができればいいと思います。

 合宿では、行者棒の他に「小架二路」「対打」「十二形抱」など、新たにしい套路を多く学ぶ事ができました。
 単打も、まだ動作を覚えたばかりと言う段階でしたが、対打を学ぶことで、単打の動作の意味を理解しやすくなるため、この経験を今後の単打練習に活かしていこうと思います。ただ、単打もまだ、身についているとは言えないため、しばらくは対打より、単打を中心に練習していきたいと思います。

 今回の合宿で特筆すべき事の一つは宿の食事のです。普段は朝食は食べないという不健康な生活を送っていますが、宿の食事が美味しかったことと、練習で疲れていたことから、朝、昼、晩と、普段とは比べられないほどの食欲を発揮し、美味しく食べることができました。
 夜になれば、連日連夜の宴会。宴会の席でも、合宿中独特の食欲が発揮され、普段は食べない菓子なども、信じられないほど食べました。練習で身体を動かすことにより、体質まで変わるものだと思う瞬間でした。
 いつもの練習後の宴会でもそうですが、宴会の席は楽しいばかりでなく、先生から呉連枝老師や、孟村、実戦技法などの貴重な話を聞ける場でもあります。また、合宿での宴会は、土曜日の教室に通う私にとって、日曜日の教室に通っている方々と話しをするいい機会でもありました(もちろん宴会だけでなく、日曜教室の方々と一緒に練習をできたことも、いい経験であったことは言うまでもありません)。
 合宿3日目の宴会では、突然「十二形抱」の講習会が始まるというほほえましい(?)場面もありました。さすがに、街の飲み屋で突然套路の講習会をするわけにはいかないため、この様なことは、合宿先での宴会ならではのことと思います。

 就寝前には、怪談なども出ましたが、練習で疲れていたため、怖いと感じることもできない状態でした。
 いつもは、枕がかわるとなかなか寝付けない体質であるにもかかわらず、合宿中は布団に入った途端に深い眠りに就くことができました。
 昼は身体を動かし、美味しく食事をし、夜にはぐっすり眠る。当たり前のことですが、普段なかなかできないことを、合宿中は「当たり前のこと」として、自然に身体が受け入れることができました。

 4日間で4つの套路を学ぶ事は、私にとって簡単な事ではなく、動作の順番を覚えるだけで精いっぱいでした。しかし、それぞれの套路は、今後の練習で練り上げて行けばよいのであって、これらの套路を学ぶ機会を得られたことはとても幸運でした。
 暑さのため、1日の練習だけで、3〜4リットルほどの水分補給をしなければならないほど汗をかき(これほど水分を採っても、体調を崩さなかったのは驚きでした)。
 体力的には大変でしたが、合宿で得たものは大きかったと感じます。

(三好雅史)

合宿レポート2に続く

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