2006年春、今年も例年通り呉連枝老師来日による開門拳社の講習会に参加しました。今年のテーマは「八極拳の第一歩」ということで基本に戻り、八極小架と行劈拳をメインに学びました。
小架一路は来日するたびに呉連枝老師から教えて頂く套路なのですが、私の視点が毎年変わっているのか、老師の小架に変化が起きているのか分かりませんが、とにかく見るたびに新しい発見があり常に新鮮な気分にさせてくれる套路だと感じました。
呉連枝老師の小架一路を見て強く感じたのは全ての動作が力強いと言うことです。発力する箇所はもちろん、ゆっくりと両儀をする時や十字拳の時も、力強く感じられます。私が同じ動作をしてもすごく軽く動いているように感じ、とても同じように動けるとは思えません。何でこうも違うのでしょうか??功夫の一言で片づけられない何かが感じられます。
それともう一点、呉連枝老師の上体の振幅が私の目を引きました。服部先生から時々、私の套路はまっすぐすぎると言うようなことを言われていたのですが、あまり自覚はありませんでした。でも呉連枝老師の動きを見ていると、なるほど私にあの上体の動きがないことがよく分かりました。今回の小架で一番学習したことは技の変化や角度と言った細かい箇所よりも、套路の力強さや上体の柔らかさが自分に大きく欠けていたということです。
一方、行劈拳もかなり以前から学習していた套路なのですが、呉連枝老師の細かい説明を拝聴してかなり新しい発見があり驚かされました。行劈拳は腕を振っている動作が大きく、また特徴的なのでそれに目が向いてしまいますが、呉連枝老師はそのことよりも啓歩のことを何度も何度も話されていました。なるほど啓歩という歩法(行)と劈拳があって初めて行劈拳なんだと納得しました。
また、行劈拳の五〜十二路のお話になると今度は逆に何度も何度も劈のことをおっしゃってました。動作自体は10年近く練習していたものばかりなのにもかかわらず、行劈拳との関連性など全く考えたことはなかったのでこのお話はかなり興味深くて、基本の動作を初めて教わったときのような気持ちになりました。
小架や行劈拳をたっぷり学び、少し消化して出来てきた3日目の昼にミニ表演会が行われました。松田先生や大阪の石田さん達が演じる中、私も恥ずかしながら参加したのですが、毎年参加している全日本大会よりも緊張してしまった上、日頃の練習不足を露呈してしまいなんとも寂しい気持ちになりました。表演会は休憩時間の余興のはずなのでもっと楽しくできたらよかったのですが…。しかしまた、練習を頑張らねばという気持ちもいつも以上に生まれたので、これはこれでよかったと思います。
徒手の講習会の次の日に行われた内功の講習会はとてもリラックスした気持ちで参加できました。例年では全ての錬功法を満遍なくやっていましたが、今年は「眼精疲労」というテーマに絞って顔や上肢の按摩を教わりました。仕事上目が疲れることが多い自分にとって、この時間はとても有意義で楽しく時間を過ごすことが出来ました。
今回は槍の講習から始まり、大森教室の歓送迎会までどっぷりと八極にはまった一週間となりました。講習会が終わってまたいつもの生活が始まると、あの時間は非日常的な夢の世界に居たのかもと思えることもあります。夢から覚めると、夢で見ていたものは忘れてしまうものですが、呉連枝老師や一緒に練習した皆さんと共有した時間は、いつまでも忘れずにいたいものです。そして何より、教わったこと、学んだことを忘れずにまた明日からの稽古に励んでいかなければと強く思いました。
本部指導員 山崎義之 |