2006.8 夏合宿レポート-2


▲打虎式

 2006年夏、今年も恒例の夏合宿に参加しました。

 今年は「下盤の強化、内外の合一」というテーマの元、太宗拳を習ったり、対練(ウェイショウ)の研究や、武器の復習をしたり、ミットを打って套路の確認をしたりと色々なものを行う合宿でした。私の場合、特に普段の練習では不足がちとなるウェイショウをいっぱいやりたいと思い今回の合宿に参加しました。今年は例年よりも参加者が少なくて前半の2日間は12人、後半は8人だったのですが少なくても少ないなりに楽しかったです。

 合宿初日、宿泊所について暫くするとみるみる空模様が怪しくなり、雨が降ってきたと思いきやすぐに大きな雹まで降ってきました。テレビを見るとなんと電車まで運休するほどの勢いだったらしく、タイミングが悪ければ私たちもどこかで足止めを食っていたかもしれません。ラッキーでした。
  さて、初日の内容は普段教室でやっていることの延長です。歩法、八式、小架をいつもより長めに行いました。小架に限っては今回、ビデオ撮影もしてもらい、その日の夜にみんなで見て確認しました。腰が高いのは予想通りとして、自分が見えていない腕や足の動きが確認できたので勉強になりました。また、今回の合宿で苗刀を新しく習いたいと言う人が若干一名いたので、この日はみんなで少し苗刀の套路を教わりました。その彼は嬉々として刀を振り回していたのですが、私にはピンと来るものはなく少し習っただけで続きはやりませんでした。

 二日目以降は太宗拳をメインに学習していきました。私も含め、初めて習う人がほとんどだったので二日目で前半を三日目で後半を習ったのですが、この套路は似たような動作が繰り返し出てくるので、前半分でもう頭が混乱していました。また他の套路とも似た技も出てくるのでさらに混乱し、二日間では覚えきれずに最終日にやっと全部覚えきれました。
覚えたばかりでまだ全く練れていない太宗拳ですが、その技の中でも一番印象深い(気に入った?)動作は軋打〜大浙江です。どこが?と言われるとなかなか説明しづらいですが、前に後ろにと大きく発力をしてなんだか気持ちがいいです。
  私の苦手な体のうねりあまり無いからかもしれません。逆にうねりだらけの白鵞分翅はかなり苦手です。
  また、太宗拳は単打や四朗寛のような横の動きがほとんど無く、直線上を行ったり来たりする動作が多い中、なぜか鷂子穿林が入っています。それも大きくS字を描きます。他の套路には鷂子穿林なんて全くと言っていいほど無いのになぜ太宗拳には入っているんでしょうか。発力する動作が多いのであえて入れているのでしょうか。うーん謎です。

 合宿に参加するまで、自分としては新しい套路を習ってもあまり身に付かないだろうと思っていたので、太宗拳そっちのけで、ウェイショウに重点を置いて練習するつもりだったのですが、太宗拳を習い始めるとそれに集中しないと覚えられない、そして思ったよりも太宗拳が面白い(笑)ということであまりウェイショウに練習時間を割きませんでした。
  教室でいつもやっている対錬と双揉手を太宗拳の合間にちょっとやっただけです。ただ、双揉手については練習中に先生から「腰が回っていない」とよく指摘されいて、腰を回そうと思っても手を触れ合っているためなかなか意識が腰に回らず悩んでいました。
  それであらためて双揉手を考えてみると、手形こそ鈎手ですが太宗拳の白鵞分翅に似ているように感じました。そう考えると苦手な白鵞分翅をもう少しまじめに練習して双揉手を上達させたいところです。

 と、まぁこのように今回の合宿では小架、太宗拳、双揉手など今後の練習課題を見つけることが出来て有意義な時間を過ごせたと思っています。指導していただいた服部先生を始め、いっしょに練習に参加したみなさんに感謝します、ありがとうございました。

 

本部教室 山崎義之



▲ミット打ち練習

  今回、夏合宿に半分だけ参加させていただきました。
  合宿というのは中学以来なので、行く前は体力や早起きについていけるのだろうか、と不安を感じていました。八ヶ岳スポーツセンターに着くと突然の雹に出迎えられ驚きましたが、一息つくと、東京とは違った澄んだ空気に意欲を貰いました。

 練習場所の体育館は、広く窓が沢山あって風通しも良く、気持ちよく練習することが出来ました。
  初日は歩法と八式から始まり、小架一路をやりました。そこで、北千住で習っている小架一路は旧バージョンと分かり、現在のバージョンを教えていただいたのですが、体が旧バージョンで覚えてしまっている為、上手くバージョンアップすることが出来ませんでした。これから練習ですね。
  その後、小架一路を一人ずつビデオに撮ったのですが、緊張で頭が真っ白になり途中で止まってしまい、動画なのに静止画状態で無駄に映像を使ってしまいました。
  夜に、その映像を見せていただいたのですが、自分の動きを見るのは初めてなので、気恥ずかしさがありましたが、多くの課題を見つけることが出来ました。

 翌朝は内功法に参加することが出来ました。普段なら眠っている時間なので、起きるのに必死でしたが、朝の凛とした空気の中での内功は、ゆっくりと体が目覚めていき、今日も一日出来るだけ頑張りましょう、と思ったのでした。
  内功の後、朝食までに少し時間があったので、近所をお散歩しました。
  午前の練習では、ミット打ちを体験させていただきました。
  ミット打ちは初めてだったので、中々タイミングが掴めず何度も掠ってしまいましたが、上手くヒットできたときには爽快感がありました。
  午後は太宗拳を習いました。套路を覚えるのにとても時間のかかる私は、内容について考えることも出来ず、ただ目の前の動きについていくのに精一杯でした。
  後半バテて一人休憩を取らせて頂きましたが、最後は皆と一緒に締めたかったので、"加油、私"と心の中で鼓舞しながら、最後の一回を何とか終えることが出来ました。

 短い間でしたが、充実した楽しい時間を過ごすことが出来ました。
 ご指導くださった服部先生、指導員の皆様ありがとうございました。
   
 

北千住教室 S.I

 


▲ミット打ち練習

 
今年もお盆休み中の四日間、恒例の夏合宿に参加する事ができました。早いもので、今回の参加でもう四回目になります。
入門する前までは、お盆休み中をぼぉっと過ごす事が多かったのですが、ここ数年は休みが明けても、リハビリ期間なしで仕事に戻れている気がします。

今回の合宿では、初日に全員の小架一路をビデオで撮影して頂き、夜の座学の時間に一人ずつ内容を確認する事ができました。かなり時間がかかる事なので、合宿ならではの贅沢な内容だと思います。
ただ、久し振りに自分の小架を見ましたが、相変わらずイタいです。今特に難儀しているのが、献胯と五虎出洞、朝陽手のあたりなのですが、やっぱりどれも動きがガクガクしています。それでも細かく確認するチャンスがある時には、やはり小架一路で見て頂けるのが一番嬉しいです。
また小架一路の歌訣についても、お話を聞く事ができました。練習する時に気を付けるべき内容が、何故あんなに整然とした歌の形になっているのか、とても不思議です。

そして、今回のメインテーマである太宗拳です。
例によって例の如く、新しい套路は、合宿期間中に順序を頭に押し込むので精一杯でした。単式で学習した事のある技が沢山出て来る套路ではあるのですが、その分順序が混ざり易い感じを受けました。鈎子提(?)、五龍撹海(??)、白鶏分窩(???)などの、目新しい動作を節目にして覚えようともしたのですが、目新しい動作がことごとく難しく、逆にそこでフリーズする始末です。
二日目以降は、何とか架式を下げようと思って膝がガクガクしたり、馬歩で目一杯踏ん張る所が多かったりで、体力もどんどん減って行きます。やがて朝の柔軟体操も筋肉痛との無言の戦いになって、結局今回も、体力一杯まで追い詰められてしまいました。でも後から考えてみますと、太宗拳の馬歩になる部分は、全部好きだったりします。
よく比べられる連手拳とは、やはり大分違う印象を受けました。練習している時の感覚も、連手拳は伸びない身体を引き伸ばされるツラさで、太宗拳は圧縮されるのに耐えるツラさ、という感じがします。正直練習量が足りていない套路も多い昨今に、また新しい套路が加わってしまった感もありますが、やっぱり連手拳と太宗拳は、どちらも魅力的だと思いました。

また今回、ミット打ちにも時間をかける事ができましたが、これが非常に楽しかったです。
套路では全然打てていないと思っていた技が、意外に手応えがあったり、こちらの方がまだマシと思っていた技が、全然駄目だったりしました。また、少しのズレで打点が滑ってしまったり、思った以上に繊細で驚きます。
公園などで練習している時にも、物を打ったりはしていたのですが、ミットの場合は打った側も怪我をしにくいので、もっと色々な技を試す事ができます。ここぞとばかりに、普段物を打ちにくい技を練習させて貰いました。
また単陽打などは、打っていて非常に楽しかったのですが、普段物を打っていない技ほど、想像以上に間合が近かったりして、咄嗟にあそこまで近付けるだろうかと思ってしまいました。
物を打つ練習をするといつも思うのですが、見た印象と打った感じには、かなりのギャップがあります。技によっては、あまり打っている様に見えないのに、上手な人に打って貰うとかなりの衝撃を受けます。最初に技を考えた人は、一体どうやってあんな打ち方を思い付いたのだろうと不思議になります。

毎年常宿になっていた八ヶ岳のスポーツセンターは、今年中に体育館を取り壊してしまうそうです。宿泊施設も、食事も、体育館も非常に恵まれた環境であっただけに残念です。来年はどんな場所での合宿になるのでしょう。
合宿に参加させて貰いますと、普段一人で練習している時なら「もうこの辺りでギブアップ」と思っている、その先まで、先生や周りの皆さんが連れて行ってくれている事を感じます。逆に言うと、周りの人達の力添えがなければ、できない経験なのかも知れません。私がそうだったのですが、自分の体力では今ひとつ「自信がない」と思って、参加を躊躇している方こそ、思い切って参加されると一番嬉しい結果が得られるのでは、と勝手に思っています。
参加している皆さんもとても楽しそうで、今年は、それはもう嬉しそうに苗刀を振っているA先輩の姿が印象的でした。
最後に、今年も四日間に渡ってとても熱心にご指導下さいました服部先生と指導員の皆様、ならびに合宿参加者の皆様に、心よりお礼申し上げます。ありがとうございました。

本部教室 高須俊郎




次へ

1 - 2 - 3 - 4