2007.12〜2008.01 孟村紀行(3)

07-08孟村紀行

八極門人・呉丕長前輩(孟村第二村の村長さんです)の司会のもと、厳粛に執り行われる渡邉先生と周佐先生の拝師式
正式な拝師式に臨み、緊張されるご両名 来賓の挨拶は、服部代表が日本語に同時通訳します
晴れて正式門人となられたご両名と、師父・師母 お二人が手にされているのは、呉連枝老師直筆の収徒状です。服部代表は、10年前に拝師していますが、このたび呉連枝老師より、「日本開門大弟子」の証書が授けられました


○”訓練中心”に到着

 中国に入国し北京で一泊した後、昼から滄州に汽車で向かい、夕方になってやっと孟村の”八極国際訓練中心”に到着しました。暖かく迎えて頂いた呉連枝老師を始めとした孟村の人達に感謝しながら、一年前とほとんど変わらないその風景を見た時は「また孟村にきたんだなぁ」ということを心から実感しました。
 到着して荷を解き、ほっとしたのもつかの間、すぐに夕食。大いに歓迎して頂いたその席は乾杯!乾杯!の声の中盛り上がっていきました。その中で私はと言うと薄めのビールをあけていたにも関わらず、宴会が終わる前からウトウトし始めてしまい、終わって部屋に戻るやいなや、バタンキュー(死語)と寝てしまいました。


○本当の意味での”国際訓練中心”

 さて翌朝、すっきりと目を覚まし朝食を平らげ準備万端、体育館に入っていきました。中には小学生になったばかりのちびっ子から180cm位ある精悍な青年まで、総勢20人ほどの練習生と教練の楊傑先生がおりました。
 このメンバーと一緒にいったい何を教わるんだろうとワクワクしているところで楊傑先生の「並べ!」の声が。背の順で2列になると、「回れ右、歩け」。「ん?何が始まるんだ!?」なんて思っていられたのはまだ序の口でした。

 暫く歩いた後、徐々にスピードを上げていって体育館の中をくるくる回ること10周以上。休む間もなく今度は体育館の対角線上を大股でジャンプ。それを4本。次に全力でダッシュすること4本。ケンケンも同じように4本。そして最後にウサギ跳びのような蛙跳び。跳んだ時、蛙のように手を上に挙げて全身を伸ばすのが特徴です。これも4本。このような練習をやるとは、よもや思っていなかった日本人組は私も含めてヘトヘトになっていました。

 走る練習が終わった後、今度は圧腿です。「ストレッチは蛙跳びをやる前がよかった…」などと思いつつも15歳のリーダーの号令にあわせて柔軟完了。「さぁ、八極の練習かな」と思い整列すると今度は長拳基本功の始まりです。
 広い体育館の端から端まで正腿、里合腿、外擺脚、側腿の往復を行いました。これで基礎練習は(やっと!)終了です。
  その後は私たちのなじみある単式練習を10本近く行い、少し休憩した後に簡単な表宴会が行われて午前の練習は終了しました。

 しかしこれもまだ序の口だと気が付いたのは午後の練習が始まった時です。
 再び楊傑先生が「並べ!」「回れ右、歩け」と言われた時に「もしかして同じ事するの!?」と日本人組は顔を見合わせていました。
 全く同じ基礎練習をしかも長めにやり終わった時はさすがに息も絶え絶えになっていました。

 次の日の朝は筋肉痛のため足全体がパンパンになっていたのにもかかわらず、初日と同じメニューを午前だけですがこなしました。

 そして3日目の1月1日、「さすがに年始めは練習しないだろう、そう言えば去年は果樹園を散歩してその後餃子作ったんだよなぁ」なんて思い出に耽っていると体育館の方から楊傑先生の声が。どうやら体育館に来ない我々を呼んでいるようでした。
 急いで体育館に行くと練習生達と楊傑先生が待っていました。そして「並べ!」「回れ右、歩け」と始まったのでした。

 このように昨年はお祭りの会場だった体育館が、今年になって見事に”国際的に訓練をする中心(センター)”として活動していることを身に染みて分かりました。
 今回の孟村では楊傑先生との練習は基礎練習が多かったのですが、一度だけ小架一路をマンツーマンでご指導頂き、とてもためになりました。


○始めての散手練習

 3日目の午後は、散手の教練の李宝貴先生より、かねてから希望していた散手の練習を教えて頂くことになりました。まず、(やっぱり…)基礎体力の練習を一通り行った後、受け身やフットワークの練習、相手の動きを封じる練習等、今まで経験したことのないものをやり参考になりました。
 特にサンドバッグを打ったり蹴ったりの練習はなかなか感覚を掴めず少し苦労しましたが、慣れるとなかなか面白いもので、日本でも環境があれば是非練習に取り入れてみたいと思いました。


○賑やかな拝師式

 今回の孟村旅行では練習以外にもう一つ大きな目的がありました。関西の渡邉先生と周佐先生の拝師式です。いつもお世話になっているお二方の拝師式には是非参加したいと思っていたため、楽しみにしていました。
 実際に行われた拝師式はTVカメラも入り賑やかに行われとても楽しい空気で満ちていました。テーブルの上には中国シャコの山盛りやダイナミックな羊料理など普段食べたことのないものを堪能し、みな自由に立ち上がりそこら中で乾杯の嵐!私にとっても思い出に残る楽しい一時でした。


○出発、そして帰国

 おいしい料理を堪能し、おなかイッパイ練習した訓練中心での生活も1月2日でおしまいです。
 その日は朝食を摂るとすぐに荷造りを行い、お世話になった孟村の方々にご挨拶をして、10時前には訓練中心を出発しました。途中でバスを乗り換えて北京の王府井のホテルにチェックインした頃にはもう夕方になっていました。
 暫く休憩してから街を探索し夕食を食べて一泊、とここまでは昨年といっしょですが今年はもう一泊して、万里の長城を見に行くことになっていました。

 朝から地下鉄、バスを乗り継ぎ1時間程掛けてたどり着いた10年振りの長城は昔の記憶とは違い、ずいぶんとさっぱりした感じがしました。前回は11月で今回は1月という違いもあるかもしれませんが、今回は上ることが大変と言うよりも、空が青く晴れ渡っていると言う印象を感じました。
 景色も爽快でとても気分が良かったです。

 今回の旅行もとても充実した楽しいものでした。
 このように楽しい時間を作れたのも同行出来た開門拳社の仲間を始め、関西からいらした渡邉先生、藤淵さん、旅行の手配を全て行って頂いた周佐先生、そして通訳も含めて万事お世話になった服部先生のおかげだと思っています。
 本当にありがとうございました。

 

本部教室指導員 山ア 義之

入門に際し、呉連枝老師よりお二人に正式門人としての心得が伝えられます 左上のかたは、周佐先生の親友 楊国明氏
王立庄師兄に、敬酒。王師兄は、性格美人です 楊傑師兄を囲んで
李俊義大師兄を囲んで、呉連枝門下の弟子たちが固い握手 左より、韓国の弟子 鄭星雲氏、李俊義大師兄、服部代表、北京の弟子 仇宝龍氏、周佐氏、渡邉氏。
めでたい日なので、白酒などを徹底的に飲みます

2007-2008孟村旅行記


 2007年12月29日から2008年1月2日の間、自分にとって第二の故郷とも言うべき孟村に出かけてきました。

 今回は、一昨年開所した八極拳国際培訓中心で行われているカリキュラムの体験と、関西の周佐先生と渡邉先生の呉連枝老師への拝師式に参列するといった、近代の八極拳の訓練内容と伝統の儀式が味わえる旅となりました。

  八極拳国際培訓中心で行われているカリキュラムは、通常の時間割(宿泊施設の時間割を見ると)では、朝食前、朝食後、昼食後及び夕食後に各1時間となっていましたが、今回は体験と言うこともあり、12月30日から1月1日の午前までは、八極拳国際培訓中心の体育館にて朝食後及び昼食後に約2時間の練習が行われました。

 日本人を除くと、練習に参加している人たちは、下は7歳位から上は20歳と若く、また、若い女性も参加していたのが印象深いものでした。

 練習の内容は、午前と午後とも必ず最初に、体育館内を楕円を描くように歩いて、徐々に走り、次に体育館を斜めに使ってのダッシュ、蛙跳び(日本でいえばスクワットと兎跳びをあわせたもの)、片足跳びなどの基礎体力作り、体育館の横を使っての蹴りや基本功(上歩拳など)を(日によっては3人一組での柔軟運動や拳立てあり)1時間行い、10分休憩の後、套路(今回は小架一路)を練習するといった流れでした。

 1月1日の午後は散打の練習でしたが、やはり基礎体力作りを行った後、受け身(前受け身、後ろ受け身)、四六歩でのステップして3打や3打1蹴、2人一組で寸止めの3打や蹴りの受け、蹴りのバリエーションやサンドバッグ打ちを行いました。

 10分休憩の後、体育館の外に出て、八極拳国際培訓中心に隣接した果樹園の一角に七本と九本の杭が立てられた場所にて、名前は聞いていましたが実際の套路を見たことがない「七星」や「九宮」を見せてもらいました。
 しかし時間が限られていたこともあり、覚えるのは無理でした。

 その後、八極拳国際培訓中心に戻り、グラウンドにてダンベルを持っての四六歩でのステップや正拳突きを行って全ての練習を終えることになりました。

 後々考えたら、日本人を含め参加者中年齢的に上位に入る自分が何とか練習についていけたのが不思議です。

 日は前後しますが、31日の夜は関西の周佐先生と渡邉先生の呉連枝老師への拝師式が八極拳国際培訓中心の食堂にて盛大に開催されました。
 壁には拝師式の横断幕が張られ、多数の参加者の中、司会者の方が議事次第に基づき進行を進めていました。

 中国武術の拝師式といえば、漫画などで紹介されているような老師に対して跪いて頭をたれるというイメージがありますが、聞くところによると呉氏八極門ではそういった格式張ったものはなく、入門証のやり取りがありますが、入門者が宴会を開き、老師や関係者にお酒や食事を振舞うといったものでした。

 そういえば、かつて服部師父の呉連枝老師への拝師式にも参列したことがあり、その時も宴会の最中に執り行われていたと記憶しています。
「周佐先生、渡邉先生、おめでとうございます」

 最後になりましたが、色々と気を遣っていただいた呉連枝師爺及び楊傑老師を含め八極拳国際培訓中心関係者のかたたちをはじめ、旅のコーディネート及び通訳をしていただいた服部師父、周佐先生、快適な旅ができたことにお礼申し上げます。
 そして、渡邊先生及び同行された方々、色々とお疲れ様でした。
 また来年も孟村で正月を迎えましょう。



本部指導員 森 豊和

訓練センターの生徒たちに、劈杆子を教える呉連枝老師 4メートルを超える大杆子を用い、劈杆子を行う呉連枝老師と呉大偉氏
呉連枝老師と楊傑師兄に、両儀頂肘の指導を受ける呉昊くん 訓練センター中庭の石碑の前で、呉連枝師父を訪問された天津大富豪の方々と共に
冬枯れの木 八極拳国際訓練中心を裏面よりのぞむ
訓練センターオフィスにて、呉昊くんに対打の指導を行う呉連枝老師 厳しくも優しく指導が行われます
右の人は、彦青師妹。彼女たちと、服部代表が知り合ったのは10年前。漂亮小姐が、漂亮媽媽になりました… 楊景然師母を囲んで

07-08孟村紀行