11.8.13~15 夏合宿(1)

2011年8月13日(土)~15日(月)にかけて、山梨県野辺山高原にて開門拳社の「2011夏合宿」を行いました。


2011夏合宿


JR小淵沢駅で、高原列車「小海線」に乗り換えます。
山の木立の中を走ります。
合宿所外観
立派な村営体育館 隣は高原野菜の仕分け場?

広い体育館です 今回の参加者
いきなり冲捶(男子千本、女子五百本)からスタート! 女子もがんばっています

広い体育館の中を、何度も往復します。みんなヘトヘトになる中、千本終えてすぐ、息も乱さずに指導を始めた服部先生にはびっくり 一休みしてから小架一路
  練習の後半から、太極拳の学習を始めました
1日目の夕方、落雷を伴う激しい夕立がありました。雨が上がった後も雲が低く、さすが山の天気だと思わせる風景です

そもそも八極拳自体、習い始めてまだ半年ほどにも関わらず、今年の合宿は、リラックスを学ぶ「太極拳」がテーマなら大丈夫かも♪などと安易に参加を決めてしまった私が甘かったのです。

「清々しい高原での爽やかな合宿」のイメージで、のんきに高原列車に揺られて行ったその先に待っていたのは…無駄に広い体育館の縦のラインを存分に使い切る「冲捶500本」でした。 まんまと騙されてしまった!と思ったものの(実は毎年恒例だったのですね…)、今さら逃げ出すわけにもいかず、仕方なく覚悟を決め、同じく今回迂闊にも参加を決めてしまった女性メンバー3人と励まし合い、喉はカラカラ、頭もクラクラ、最後はフラフラになりながら、何とかノルマを(ほぼ)達成。片隅で一足先に休憩しながら、それにしても「男」というだけで、その倍の1000本やらされている男性たちはもっと大変なはず…なのに皆さんちゃんと頑張っていてエライエライなどとエラそうに考えていました。
幸いにも、そんなキツい練習はそれでおしまいでしたが、では、その後やった太極拳は楽勝だったかといえば、もちろんそんなことはあろうはずもなく。

そもそも、武術というもの、当然相手あってのことであり、太極拳でも、相手をイメージしながら練習することが大事になってくるはずですが、初心者である私にとっては、何よりもまず自分の身体を思うように動かすことに神経を集中させる必要があり、その意味で、極めてパーソナルな行為を行っているという感覚があります。

そして、今はまだ、当然ですが、どの動き1つとっても、曖昧だったりギクシャクしたりで相当奇妙なことになっており、それがもどかしかったり、若干気恥ずかしかったりもするわけです。 それでも、そんな風にごくパーソナルな感じで、どちらかというと1人でコッソリやっておきたいようなことを、広々とした道場で、皆さんと一緒に、先生の動きを目で必死に追いながら、黙々と集中して行っていくうち、次第に静かな愉しみのようなものを感じている自分がいました。
それはおそらく、自と他、あるいは緊張とリラックスといった、相反する物事を同時に扱う時に常に感じる、難しいながらも飛び切りの楽しさがそこにあるからでしょう。

それにしても、自分の身体の扱いには、すでに相当長けていると思われる男性陣が、今回、改めて太極拳に取り組むにあたり、実に熱心に、1つ1つの動きを、身体にじっくり落とし込んでいこうとしている姿を遠目に眺めているうち、何だか皆さんがとてもイケメンに見えてきました。(それとも、私は相当疲れていたのでしょうか…?) 他方で、そんなイケメンパワーに圧倒され、自分の練習がおろそかになりがちな私のやる気を常に鼓舞してくれたのは、やはり、同志である女性メンバーたちの存在でした。
太極拳の動きを覚え易くするため、「最初はポニー」(注:左右野馬分鬃のこと)などと勝手に改名したりしながら、楽しく練習出来たのも、個性豊かな彼女たちがいてくれたおかげです。
また、あくまで可憐でありながら、実は影の実力者ではないかと誰もが思っている(?!)奥様には、今回も様々な場面で的確にサポートしていただき、大変心強く思いました。 そして、何と言っても、こんな不埒なレポートを書いてしまうような私にも、いつも笑顔で丁寧にご指導下さった服部先生に、改めて感謝とお礼を申し上げます。

ということで、皆さま、3日間お疲れさまでした&これからもどうぞ宜しくお願いいたします。



荻窪教室 外山


翌日は晴天 昨日の疲れを見せない元気な女子部
2日目は、剣道場での練習です  
  細かいところをなおしていきます
用法も練習します 推手
2日目の夕方は、少し雨が降って虹が出ました 明日もがんばりましょう

8/13~15に開門拳社の夏合宿に参加させていただきました。

私は2008年から3年ぶりの合宿参加でした。久しぶりの合宿でしたが、午前、午後の練習、そして夜の座学?と例年と変わら ず、とても楽しい合宿でした。

今回の合宿のメインテーマは24式太極拳。太極拳を通して八極拳で理解し難い点をよく学ぶことを目的としました。 しかし、先ずは冲拳を千回…とても疲れました。
そして本題の太極拳。 なかなか、上手く動けません。ゆっくりとした動きの中で手、足、腰等を調和させて動かす事は難しく、何となく形を真似ているような感じでした。
恐らく八極拳の速い動きでも調和がとれていないのではないかと感じました。

八極拳は静動分明な為、どんなに套路をゆっくり練習しても打つ瞬間は速く、なかなか自分がちゃんと打てているのか意識出来ずにいました。
その点、太極拳では打つ動作に於いてもゆっくりとした動きで練習する為、どのように身体を動かして打っているのかをとても良く分析できる事がわかりました。

24式太極拳の技は八極拳のものと非常に良く類似している事から太極拳の練習をそのまま八極拳に応用できると服部先生が話していた事が、実際に学習してみる事で実感出来ました。
左右野馬分鬃では、腰の力で腕を振り出す感覚がつかめました。
左右楼膝拗歩では、単打の小纏での 突きの打つ感覚がつかめました。
左右穿梭においては、単打の左右雲抄手に酷似していました。

今回、日本でも広く普及している24式太極拳を学ぶことができ、とても良い経験が出来ました。 この合宿で学んだ太極拳を今後の八極拳の練習に活かしていきたいと思います。



本部教室 疋田雄一郎

小架一路も練習します  
  お疲れ様でした!

2011年 夏合宿参加レポート

去る8月13日から15日の三日間、今年も夏合宿に参加させて頂きました。

今回は二十四式太極拳と、下盤を強化するためのスペシャルメニューをご指導頂けるとの事でしたので、期待半分、恐怖半分で野辺山に向かう事になりました。
練習場に集合して間もなく服部先生から、「それではまず、かる〜く千本ほど上歩拳を、打ってみましょうか」とのお達しがあり、内心冗談であってほしいと願いながら、ひきつった笑顔を浮かべているうちに、体育館の端に全員が整列して、かる~いノリのまま本当に始まってしまいました。

実は今回の合宿で太極拳をご指導頂ける事になったのは、私など特にそうなのですが、下半身が弱い割に上半身に力が入り過ぎていて、正しく力が出せなかったり、体に変な負担がかかったり、といった問題を少しでも改善するためだそうです。
二十四式太極拳を経験する前と後とで違いを確認する、あるいは事前に余計な力を出せない様にするためとあれば、逃げてしまう訳にもいかず、途中で両足ともマメが出来て、自分でも何をやっているのか意味不明になりながら、何とか通り抜けました。
肝心の結果はといいますと、二十四式太極拳は、套路の順序を覚えられたかどうかが精一杯で、考えてみれば当り前なのかもしれませんが、成果が云々というのは、これはかなり気の長い話ではないかと感じています。

始めたばかりの他派の套路について、何か分かるはずもほとんどありませんので、以下は、初学者の感想と憶測を書かせて頂きます。
太極拳を八極拳と比べてみますと、すごく似ている部分と、そうでもない部分とが両方あって、特に考え方の違いと思われる部分がとても新鮮に感じられました。

まず歩法についてですが、太極拳では完全に片足に体重を乗せ終わってから、次の動作に移るという部分が、とても面白かったです。前足を明確に踵から着地するのも、力の出し方の違いに関係しているのでしょうか。
また、片足に完全に体重を乗せられる様にするため、八極拳よりも通常の歩幅は少し狭い様です。八極拳は両足にそれぞれ体重を分配して、踏み分ける力も使って安定を確保していると思われるため、歩幅は概ね三足半ですが、太極拳では両足の体重の配分は 10対0 から 0対10 まで移動し、しかもその両端で静止していませんでした。
八極拳の三足半というのは、体重を両足に踏み分けて、静止しても次に動きにくくならない範囲で、最大の歩幅なのかも知れないと思いました。

上半身がすごく似ているのに、下半身が異なっている様に感じられるのが「張り」の部分です。
弓歩の足の三角形も、最後まで張ってしまわずに、全部の関節が少しずつ垂れ下った状態のまま、次の動作に移っている様です。なので、八極拳の様に後ろ足を完全に張って、体軸を後ろ足に対して一直線にするのではなく、後ろ足の膝は少し緩んだまま、背筋も鉛直に立ったままの様でした。
八極拳の場合は下半身から上半身に向けて、グラデーションの様に力が抜けてゆく、と伺っていましたが、太極拳ではかなり下の方まで、力が抜けていなければならないのだろうなあ、と思いました。どちらも今のところ無理なのですが。

また八極拳では、招式の一番最後の一瞬に発力を収れんさせる動作が多いように感じますが、太極拳では、長い距離をかけてゆっくり体重移動をさせて、その間徐々に力が発生しているように見えます。
でも八極拳の套路の中にも、今まであまり気にした事がなかっただけで、同じ様な力の出し方をしている部分が恐らくあって、そのどれも自分が苦手としている箇所ではないかと思いました。推山、擁肘、雲抄手、おそらく順歩単提や通背式などでも、最後の一瞬に張るだけではなく、一定の距離にわたって徐々に力が発生している面があるのではないでしょうか。
今までに、この違いをあまり考えた事はなかったのですが、仮に意識して使い分ける必要があるとすると、力の質の違いが見た目では緩急となって表れ、相手からみると、とても対応しにくい事になるのではないかと思います。

最後の一瞬に発力を集中させるような八極拳の招式でも、上歩掌などでは一瞬の間に様々な要素が隠れてしまっていて、例えば掌を煽り上げる動きなどは、外から見ていても殆ど「何をどうすれば正解に近付けるのか見当もつかない」状態でした。
しかし、太極拳での掌を見せて頂いたり、自分でも練習してみたりすると、仕組みを考えたり微調整したり、といった事ができ易くなるのではないかと想像しています。
ゆっくり動いてもできない事を、速く練習するだけでは改善できないのかも知れません。

そして一通りなぞってみて感じたことは、とにかく一言でいって「センスないなあ」と。
劈掛拳も全く同じ状況なのですが、だからといって逃げ回ってばかりいると、欠点がどんどん悪化してゆく事だけは間違いないので、非常に悩ましいです。
向いていないものは上達はできないかも知れませんが、無理矢理でも続けていれば、せめて欠点だけでも目立たなくなってゆくと期待したいところです。

八極拳の他に練習したことのある中国武術は劈掛拳だけですが、劈掛拳の場合は、あまり八極拳から離れずに練習する方法が用意されている様に感じます。
八極に劈掛が沁み込む、という言い方をされるそうなので、最終的には吸収されてゆく感じなのかなあと想像していました。
太極拳は、始めたばかりなので殆ど何も解らないのですが、八極拳との共通点、全く異なるところを、それぞれ意識しながら練習できれば、とても楽しいだろうなと思います。

最終的に八極拳と一体にならない(と思われる)ものを経験する事で、八極拳を周辺から眺めるみたいに、もう少しだけ理解が深まるのであれば、こんなに嬉しい事はありません。今まで絶対の原則だと思っていた事が、劈掛拳ではその限りでもなかったりしましたので、恐らく太極拳でも、劈掛拳とはまた違った部分で、思い込みに気付かされる事を期待してしまいます。
いろんな思い込みを全部取り外していったら、最後に残るのが「放鬆」だけだったりすると、一番最初の悩みに戻って来てしまうだけの様な気もしますが。

最後になりましたが、今回の合宿でも三日間にわたって、とても熱心にご指導下さいました服部先生、そして指導員の皆様、参加者の皆様には大変お世話になりました。改めてお礼を申し上げます。


土曜教室 高須俊郎

 



2011夏合宿