昨年10月末から八極拳を習い始め、ちょうど半年。ヨーガ等との姿勢保持の違いに戸惑いながらも、これまで楽しく続けてこられた(服部先生、指導員の皆さま、そして先輩方いつもありがとうございます)。
今回の講習に際しては「老師の技は絶対に見学すべき」との先輩方の勧めに3日間通し参加を決めたものの、いざ会場に伺ってみると周りには十年選手がずらり。一見和気藹々としながらも、広い体育館内にはいつもの横浜教室とは違う緊張感。早くも3日間の道程の険しさを予感する。が、今更じたばたしても仕方ない。腹を括る。
■1日目 - 五種歩型、両儀頂肘、基本功、対練と小架一路
まずは土台となる五種歩型について。各歩型の確認・練習も兼ねた講義はたっぷり1時間。そして両儀頂肘の重要性を老師は熱心に説かれた。曰く「五十音を知らねば日本語は話せない。基本を知らなければその応用はできない。基本を大切に、日々練習せよ」。
練習の最中、老師が直接私の手を取り御指導下さる機会があった。老師は決して大柄な方ではないのに、その掌は大男のそれを思わせるほど大きく分厚く、非常に印象的だった。
■2日目 - 単打、対打と八極拳六大開理論
初日はどうにかついていくことができたものの、2日目からはものの見事に未知の領域。単打?はて?万事そんな調子で、常に周りを見回しつつ見よう見まねで動くのに精一杯。当然歩型のことまで頭が回らない。足を意識すると途端に上半身がお粗末になる。やはり道程はかなり険しく遠い。
そうした私の発する「破滅的にできない人オーラ」を敏感に察知して下さった周佐先生、渡邉先生が丁寧且つ根気強く教えて下さったものの、完全に脳の処理能力超えを起こしていた私は左右の別すらあやふやになるという失態をしでかし「右や右!」との教えに左足を出す有様)、あたかも両先生の忍耐強さを試すかのような展開に…(周佐先生、渡邉先生、その節は大変お世話になりました。次にお目にかかる時までにはもう少しどうにかなっているよう、練習いたします)。
■3日目 - 四朗寛と十大形意、十大勁別
2日目の帰り際、最終日はどうなってしまうのかと半ばやさぐれスイッチが入りかけたところに、服部先生が「未来の予習だと思って参加するといい」と声をかけて下さった。明けて3日目。内容は正しく「とんでもなく遠い未来の予習」だった。
四朗寛の套路は長く、これまで習ったことのない型がどんどん出てくる。回転が入ると方向を見失う。周りは皆左足前なのに、自分だけ右足が出ている。最早背伸びは無駄なので、全体の流れや先生・先輩方の動きを拝見することに重きを置き、後は流れに任せる。 理論は十大形意、十大勁別について。動物と動作、呼応する組み合わせについて細かな講義が展開されるも、実感として理解するには程遠いレベルにいる自分は、ただただ「そういうもの」として頭に入れるしかないのが正直なところだった。いつか理解が進んだら「あの時のことはそういうことだったのね」と振り返れる日が来ることを期待しつつ。
愚直たれ、修練せよ。
3日間を通して老師が繰り返し強調なさっていたこと。最終日、練習の終わりにはご自身のお祖父さま、お父さまに当たる先々代・先代のお話を引き合いに出され、その大切さについて諄々と説かれた。
歓送迎会の席で老師は「八極拳発展のために、私はとても心を砕いているのです」と仰った。
三日間講習に参加しただけの私には、老師のご苦労は到底判らない。ただそう仰る老師が、うっすら涙ぐまれていたことが強く印象に残った。数ある習い事の一つとして始めたつもりが、もしかして凄いところに足を踏み入れてしまったのかも…。自分の認識の甘さを痛感した。と同時に続けてみようと思った。
末筆となりましたが、老師、先生方、事務局の方々、指導員の皆さまに諸先輩方、今回の講習会にご尽力下さった皆さま方に感謝いたします。特にご一緒させて戴いた各教室諸先輩方が、揃って鷹揚且つ謙虚でいらしたことにも感銘を受けました。初参加の礼儀も弁えない私を気遣って下さって、本当にありがとうございました。
横浜教室 竹内慶子 |