2000年度夏合宿レポート 4


会員の合宿レポート&記録写真


▲対練に汗を流す。

 開門拳社二千年度夏合宿レポート

 開門拳社に入会してから約一ヶ月、練習参加日数にすれば四回、経ったかどうかという頃、この合宿に参加することになった。場所は富士のふもとに位置し、いつもより涼しく且つ広い練習場を擁する宿舎である。

 自分はつい先日開門八式を何とか覚えた段階なので、練習内容は基本功の復習および強化になるであろうと考えていた。結論から言えば、小架一路、六肘頭、六大開拳など様々な套路を教えてもらった。もっとも、このうちのほとんどの套路は覚えられず、見た目が派手な套路ばかり心に残っているような気がする。
 しかし、開門八式の次のステップである小架一路だけは、同じく開門八式までしか終了していないメンバー(通称小架組)と「少なくとも形だけは覚えて帰ろう」と肩を抱き合い、友情の涙を流して誓ったものである。一部誇張があるにせよ、M指導員の指導の下、少しづつ小架の動作を覚えていった。

 動作を覚えるだけなら大して難しくは無い。しかし、動作をなぞるようにして套路をやっていると、「自分は何をやっているのだろう」と思ってくる。中身がないように思えてくるのだ。套路はその動きの一つ一つにいくつもの意味を持っている。それは指導員が例文として教えてくれるものもあれば、考えているうちに思いつくものもある。つまり、能動的に頭を使って「意味」を考えることが非常に重要な稽古であると感じた。人から与えられたものに満足せず、もっとも常に自分の頭で考えようとするという過程は、別に武術に限らず大切なことではあるが。

 開門拳社合宿夜の部では、昼間の疲れを癒すべく(ならとっとと寝るのが一番なのだが)、親睦会という名の飲み会が行なわれた。十人十色というように、ここに集まった方々も様々な経歴、職業を持っている。そこで出てくる話は武術論、仕事など多岐にわたり、当然各人の性格や経歴、職業が反映されてくる。自分は大学生なのだが、自分と違う生き方をしてきた人達の話は、自分の持っていない、考え付かない思想、体験談を含んでおり、大変刺激を受けた。これが夜の部、飲み会最大の効用であった。

 かくてあっという間に終わった合宿ではあるが、月並みな言葉ではあるが、これは終わりではなく始まりである。小架一路に含まれた意味はまだほとんど理解してはおらず、その動きですらまだ惰性でやっているところが多々ある。そしてその動きを実際にどう運用(動作の崩し、タイミング)していくかはまだ全然である。

 「術は人が使うもの。術を使っても術に使われてはならない」という様な言葉を見た。この合宿をひとつのステップとして、常にその動きの意味を考えながら、今後の稽古に励んでいきたい。

(植木武志)

▲食事の質も今回から格段にレベルアップ。

合宿レポート

 開門拳社に入ってから1年半になりますが、合宿に参加するのは今回が初めてです。今回の合宿において自分での課題は、今まで学んできた事の、復習と更なる発展をしようと考えていました。
 通常の教室では行えないことを、十分な時間を費やして行うことができるし先生や指導員の方々がいっしょにいることは、その場で発生した疑問を投げかけることができ、良い刺激になると思い張り切っていました。

 そんな中、合宿当日。合宿場は、山梨県富士の裾野です。
 この日は、あいにくの空模様のため富士山を望むことができませんでした。
 合宿到着後、一息ついた後に練習が開始されました。
 合宿初日とあって念入りな準備運動から対連に移りました。ここまでは普段の教室と同じでしたが、次の站椿功から激しくなってきました。
 站椿功は一時間近くを使って行われました。しかし、通常教室では少ない時間で行うため姿勢の修正や体の位置の補正を行っているうちに、次の動作に移ってしまいます。
 自分の形を修正するのには非常に時間がかかるものです。自分では同じように行っているように思っていても、実は全然違っているというようなことが沢山あります。
 頭の先から、足の先間で意識を集中し修正された形を体に覚えこませようと必死で立っていました。ひとつの形成を時間をかけて行っていると、昔指導していただいたことが頭の中からよみがえってきました。僕は肩が上がってしまう傾向にあるので、それを注意されていたことや指先まで意識を保つ事など湧き上がってきました。それを実践し徐々に修正することもできたと思います。時間をかけて行うことは鍛錬にもなりますが頭を働かせて従来の注意点の整理を行うこともできると感じました。

 站椿功が終了し、ヘトヘトの状態で馬弓捶等を行いました。号令が全員に行き届くまで一つの動作は続きました。はじめは勢いよく打ちつづけていましたが、途中で疲れてきました。
 そのときに気が付いたのですが肩に非常に力が入っていたことを、先生や指導員の方に良く、肩に力が入っていると注意されていたのですが自分ではそんなに力を入れているような気がしませんでした、しかし肩の張りが激しく痛くなってきたことにより肩から力を出している事を体で感じていました。柔から剛に移ったときに力が発揮されると言う事を感じました。
 肩の痛みが発生したことにより肩から余分な力が消えてコアからの力を利用して拳を出すことができたと思います。肩ががちがちに固まっている状態よりも、スムーズに体が動いたような気がします。
 その後、対練に移り、八式を行い一日目の練習は終了しました。

 練習後に、座学を行いました。内容は六大開についてでした。呉連枝老師が来日されたときに説明していただいた内容をさらにわかり易く先生が説明してくれました。八極の動作での根幹は6つの用法で説明されました。現在、6つの用法を見て理解するために六大開拳を使用しています。しかし根幹を理解すれば型ではなく自然と動きを行えるようになると感じました。
 六大開を理解するには何年もかかりそうですが、今のところ動作の根幹と言うことを理解しておこうと思いました。

 合宿二日目は前日の、站椿功の疲れからか体中が痛く動きに切れがなかったようです。
 二日目の練習メニューは前日の座学で学んだ、六大開拳を行いました。前日の説明を伺っていたので頭では動きの理解をしようとしていましたが、体がその用法どおりに動いてくれません。まず六大開拳を練習しないといけないと感じました。
 八式、小架、単打を練習したあとに対打の練習に入りました。
 僕は、単打の動きはなんとなく出来る状態でしたが、それを対打として使用することが出来ませんでした。対打は単打の型通りとわかってはいるのですが、頭に浮かんできません。
 このとき、型をやっているだけでは技を使うことって難しいと感じました。
 対打には常に相手が存在します。相手の動きに合わせて、攻め手と守り手に分かれて練習するためどちらかが動けないと先に進むことが出来ません。
 教室では、良くほかの方が行っているのを見ていたつもりでしたが、実際に動くとなるとパニックになってしまいました。
 何度も何度も動作を繰り返しましたが、腹が立つほどなかなかうまくいかないものです。教室に戻ったときも対打を課題に練習したいと感じました。
 課題を残しつつ、休憩に入りました。今回僕は棒を合宿に持っていきました。
 器械の練習があるかもしれないと思ったためです。僕は、棒を習ったことはあまりなく払う動作や突く動作を知りませんでした。しかし、今回習うことが出来ました。打ちと払いの動作です。一番重要な動作だと思っていましたので、非常に感動ものでした。
 先輩方が何の気なしに行っていた動作にこんな意味があったのかと、改めて感じることが出来ました。
 それに付け加えて、非常に動作が難しく、なかなか棒が回ってくれません。
 自分の姿勢や用法がしっかり出来ていないときれいに回すことが出来ないということです。自分の力不足を改めて痛感しました。しかし、棒を習ったことは非常にうれしかったです。

 午後に入り、新しい套路を学ぶことが出来ました。
 それは、行劈拳です。一路から四路までの中から三路までを学びました。
 非常に短い套路でしたが、力強く発力する所が豪快でした。短いとはいっても初めて習うので、覚えるのも必死でした。
 何度も何度も繰り返し、行うことでやっとの思いでそれらしい感じになってきました。
 しかし自分の踵が痛いことに気がつきました。力強く踏み込むことによって足に負担をかけてしまったようです、先生に尋ねたところ、踵から踏み込まないようにといわれました、なるほど踵からではなく幾分つま先から踏み込むようにすることを学びました。
 確かに、踵からだと頭に直接衝撃がくるので頭悪くなりそうって感じでした。
 行劈拳の套路を学んでその日の練習は終了しました。

 三日目は前日の行劈拳の復習から始まりました。
 前日にやっていたのにもう忘れそうな自分の能力不足にあきれそうになりました。復習が終了し、この日も新しい套路を学ぶ機会を得ました。その名も四郎寛です。
 非常に長い套路と言うことは聞いていましたので後一日半で覚えられるか心配でした。案の上びっくりするくらい大変でした。
 先輩方は途中まですでに学習済みでしたので、ついていくことが出来ませんでした。何度やっても順番が思い出せずに頭が真っ白になっちゃいました。
 そこで、ある程度までを区切っての練習に切り替えていくことになりました。途中まですでにご存知の先輩方は復習になると思いましたが、待ったく0の自分にとっては非常につらい時間が流れました。今まで学んできたものとは違い、円の動きが入ってきたために、自分の動作がどのようになっているかわからなくなってしまいました。とにかく順番を覚えておこうと思い、ただそれだけを考えて実行しました。
 午前と午後を使用しある程度の順番を覚えていました。しかし、また明日忘れてしまいそうで不安でした。その日の練習はそれで終了しました。
 しかし、次の日まで不安なために有志を募って自分たちの部屋で四郎寛の復習を行っていました、指導員の方に手伝っていただき、順番や動きを指導していただきました。3人で練習していましたが全員で行うとなかなかさまになるのですが、いざ自分ひとりで行うとなかなか出来ないものです。全然次の動きが出来ませんでした。
 この練習は1時過ぎまで続きました。

 四日目前日の四郎寛の続きと、この合宿のおさらいをかねた練習になりました。前日の練習が効いたのか、忘れずになんとなく行うことが出来ました。でも頭の中はいっぱいいっぱいのために行劈拳の四路も指導していただいたのですが、すっかり忘れてしまいました。申し訳ありません。
 しかし、一日半でほんとに順番だけですけど覚えることが出来たのは非常にうれしいです。
 ほんとに前日お付き合いいただいた指導員の方に感謝感謝。
 最後に全員で小架一路を行い合宿終了。非常勉強になることばかりで、いまだに興奮冷め遣らぬって感じです。合宿に赴く前と後では八極拳に対する姿勢が変わった様な気がします。これからもどんどん練習していきたいと思います。

 最後にご指導していただいた先生、指導員の方々と先輩に感謝したいと思います。ありがとうございました。

(小林伸隆)


▲集合写真
 夏期合宿参加者の皆さん、お疲れさまでした。
 よく練習して、よく話して、よく食べてよく飲みましたね。
 今回の施設がとても良かったので、来年の予約もしてきました。講習内容ももう考えていますので、お楽しみに。
 来年もふるってご参加下さい。

 (開門拳社代表 服部哲也)

1| |2| |3| |4
活動の記録TOP


開門拳社 since 1996>
※当ページ内に含まれる文章・画像等の転載/引用を禁じます。

made by NUTSCRACKER since 1988/Digital Illustration & WEBdesign