2004年夏合宿レポート

 2004年8月14〜17日、今年も昨年に引き続き、八ヶ岳を望む「八ヶ岳スポーツセンター」にて開門拳社の夏合宿を行いました。
酷暑の東京とは違い、暑くても30度・朝晩は涼しい・爽やかな気候・緑の甘いにおいのする空気と、運動には最適な環境です。


お盆休み中の8月14日から17日までの4日間、二度目の夏合宿に参加させて頂きました。
昨年、初めて参加した時には、諸般の事情により初日の辛ぁい練習は行われなかったと聞いています。そして今年の合宿テーマは「八極拳の身体を作る」との事。腰を痛めて以来、今ひとつ練習時間が足りてない私にとっては、体力的に一抹の不安がありました。
ですが四日間過ぎてみると、腰はむしろ好調なくらいで、練習している時の方が、仕事で机にかじりついているより、よほど身体に良いんだという事が実感できました。

初日、一年ぶりの八ヶ岳スポーツセンターに着くと、早速午後の練習が始まりました。
基本功を一通りこなして、ゴールデンウィークの講習会で呉連枝老師に教えて頂いた老架子を、先生の号令に合わせて練習する事になりました。ところが、最初の両儀からずうっと号令が掛かりません。心の中で「まさか」と思いつつ、架式を保つ事に集中していると、ようやく先生の「はい」という声がかかり十字拳に。
何式か進んでくると、さすがに「これはきっと長い!」と解って、なまじ套路の順序までは憶えているので、最後の方は完全に、体力を残りの式数に割り振って、その中で可能な限り低く、正確な架式を取ろうと足掻いていました。あと二式、一式と、終わりに近付くと同時に我慢の限界も近付いて、終わった時先生が「今ので丁度30分くらいです」と仰るのを聞くと「30分て、こんなに長かったんだ」と思いました。
しかし先生が、さも当たり前の様に「はいもう一回」と仰ったときは、「甘かったー」と心の中で叫んでいました。

二回目は、架式を直して頂きながらだったので、なおさら気が抜けません。特にしんどかったのが虚歩のところで、「早く馬歩になりたい」などと、普段は絶対に思わないような事を考えてました。後から考えると、自分で体力の配分が出来るうちは、最後まで頑張ったとは言えない、後先考えず全力で練習しなさい、というお話を聞いたばかりだったなあ、と思いました。
ですが、自分一人で練習している時、意志の力だけで、あそこまで頑張れるかというと、ちょっと自信がありません。もう一段強い身体を作りたいと思ったら、周りの皆さんに引っ張られて、自分が限界だと思っている、そのもう少し先まで頑張ってみるというのは、とても良い機会だと感じました。
もちろん当時は、それどころじゃなかったのですが。

二日目以降の主題は「連手拳」でした。
以前本部教室で爬山担山式の話が出た事に、その動きがとても奇麗だったので、勉強してみたいと思っていた套路です。少し長いのですが、部分的に単打と同じ動作が入っていたり、何ヶ所か動作の繰り返しがある分は、助かりました。
しかし、この套路は移動量、運動量ともに多く、腰や体幹部の捻りも一杯いっぱいで、かなり体力を消耗します。そのうえ初っ端の雲手から朝陽手、揺膀胯のあたりで既に身法がかなり難しく、いきなり挫折しそうになります。
ですが、特に興味のあった爬山担山式は、いい加減疲れてくる後半になっても沢山出てくるので、力の入れ方、抜き方の良い練習になると思いました。「ちゃんと大きく動ける様になると、もっと疲れるんだろうなあ」などと思いながら、一人で練習する時のため、まずは順序を憶える事に集中していました。
服部先生は、連手拳が「単打」の発展に効果がある、という事を仰っていたので、なるべく単打とセットで練習して、照らし合わせてみたいと思います。

また途中で皆さんに混じって、六合花槍の練習にも参加してみたのですが、徒手の練習不足の部分を痛感したというだけで、全くついて行けそうにありませんでした。しばらく六大開拳と、槍の基本功を練習し直してからの方が良さそうです。
他にも、連手拳の間を縫って小架二路、扶手一路、四封四閉、十二形抱と、重要なものを立て続けに教わってしまったまでは良かったのですが、さすがに理解できるものではなく、物凄い量の宿題を出された小学生の心境です。本当なら単打とセットで連手拳、対打とセットで扶手、という練習が出来るようになれば良いのでしょうが、なにしろ私は対打自体習ったばかりなので、まずは対打を練習しなければなりません。
これらの套路については、本部教室で勉強する機会を捕らえて、後から少しずつ補完して行きたいと考えています。ただ、例え自分には早過ぎる課題であっても、先輩方に連れられて体験する事には、意味があったと思います。それで普段、自分の練習に欠けている部分や、重要性を理解していなかったものに気付けば、そこを頑張れば良いとも思うからです。

昨年のレポートにも書いたのですが、八ヶ岳の合宿所はとても居心地が良くて、常宿になるだろうというお話を聞いて、楽しみにしていました。
今回も気候は過ごしやすく、食事もとても美味しかったです。またジェットバスや洗濯機は、合宿に最適な装備なのではないでしょうか。あまりに居心地が良いせいか、座学の後の宴会も盛り上がり、練習より体力を消耗したような気がするのは、きっと、多分、気のせいでしょう。今回も体力的には一杯いっぱいの合宿でしたが、とても楽しく過ごさせて頂きました。
連日熱心にご指導下さった服部先生、森指導員、そして参加者の皆様、今回も大変お世話になりました。来年も楽しみにしております。

本部教室 高須俊郎



●老架子を長い時間かけて行う。



今年も、年間行事になりつつある夏合宿に参加しました。

初日
毎年恒例、体力限界チャレンジメニューが用意されており、少々恐怖を感じながら、練習がスタートした。
始めは、老架子から開始された。
「あれ、この老架子なかなか次の動作にいかないな。いつもより時間が長いぞ。」「はっ!たしか2年くらい前に小架でやったな。これが今年のテーマ・八極拳の体作りメニューか。」と、少々楽観視したのも束の間
「んっ!こ、これは、前よりもきつい!」考えてみたら、小架より動作が少ない分、溜めの時間長くなり、そのうえ老架子は小架より姿勢を低くたもつためさらにきついのだ。
ヘトヘトになりながら30分くらいかけてなんとか終了。
しかしここで終わらないのが夏合宿の醍醐味。
「はい、では今注意した点に気をつけてもう一度。」と天の声。
一瞬めまいが起きそうになりながら、体力のそこにあるエネルギーをかき集めて2回目もなんとか終了。
たしかにこれは体作りにもってこいのテーマだ。
小休止のあと、単打を全員で行ないその後、今回は合宿参加者が少人数だったため、一人づつ単打をチェック、個人の注意点等を指摘していただいた。
自分は前々からの指摘事項、ひざのかたさがあがった。やはり、ひざだけでなく体全体のかたさは、自分の永遠のテーマのようだ。この注意点を念頭に今後の練習に繁栄させていきたい。

その後、2日目からの一部希望があった、六合花槍を体験版で行ない初日の練習が終了した。
食事等を済ませたのち、座学を行った。
今年の座学内容は、通常の練習でも数回講義していただいている整体から発力等に至るまでをいつもの練習時より細かく講義をしていただいた。その後は恒例の飲!いや交流会が催され、日付をまたぎながら初日が過ぎていった。

2日目
前日の疲労と血の一滴に匹敵する液体が、体内にのこりながらも2日目が開始。
今回、参加者の希望が数件あり、前日体験版をやった六合花槍と連手拳が上げられていた。しかし、前日に六合花槍体験版をやりまだ無理との回答があがってため、今年は連手拳となった。
自分も連手拳は未開だったので、この機会に挑戦してみた。
習っていくうちに、なんとなく今まで習ったものと違う感じがした。
とにかく、体が伸びる・ねじれる・ねじれたところからまた伸びる!といった様子で、今までと違った疲労感が感じられた。先生も言われていたが八極拳と劈掛拳の融合だと。確かにこれは、言われてみれば、そんな感じだ。しかし、劈掛拳もまだまだ若輩ものの自分としては、連手拳は劈掛拳より伸びる気がした。
 自分には、かなりきつく、一部からは、「きみにはあまり似合わないね。」といわれ、
「むむっ!鋭い指摘。たしかに少々勝手が違うかな。」と思いながらかなり楽しみながらできた。
先生からは、「あまり似合わないが、似合わないのをやるのも体作りだよ。」とアドバイスをいただき、似合わないながら気にいってしまった。そうこうしているうちに2日目の練習がおわった。

 2日目の座学は、翌日の練習メニューである扶手の予習だった。順序を覚える形で、一通り、手順を行ない、軽く汗を流したのち、恒例の交流会の開催、やはりこれは、はずせないところです。内臓の功夫も鍛えねば。そして、また今夜も日付をまたいだ鍛錬が終了していった。

3日目
 昨日の復習で、連手拳を行った。先日のがんばりが報われず、一部套路が飛んでしまっていた。
必死に思い起こし、時間は掛かるが一通り覚えられたようだ。その後は、こまかな修正・注意点を指導していただいた。
 午後になり、先日座学で予習した扶手を行った。前日とは違い、軽く流すのではなく真剣になり、かなり緊迫した雰囲気となった。対打よりかなり実践に近く気をぬくと危険な印象を覚えた。しかし、未熟なりに真剣にやっていると楽しさも沸いてきた。しばらく、扶手を続けたのち、小休止がありその後は、2班に別れ連手拳組と六合花槍組と分かれた。

自分は、やはり槍が好きなので槍班に入り練習を続けた。程よくして小休止のあと六合大槍が始まった。自分はいままで2.5mの丸太のような棍のため、バランスが悪かった。そこで、その棍にあう槍頭(自主製作品・実は、自分では作れず依頼しました。)で大槍を製作し今回の合宿に導入。しかし、これが失敗、槍自体はよく、バランスはいいとのお墨付もいただきましたが、体作りの途中である自分には手に余る代物となり、六合大槍 六路あるうち三路あたりまで何とか持ちこたえてみましたが、最後の方はヘトヘトとなってしまった。やはり、体作り確実に行うものと痛感し3日目の練習が終了した。だが、いずれはこの大槍を使いこなせるように精進したい。

3日目も終わりに近づいたとき、体が楽になってきた。槍を行う前はきつかったが、終わった後やけに楽になった。
この症状を後日開門拳社内では、かなりお世話になっている人も多くたまり場になる勢いのF接骨院のS院長に聞いたところ、体力回復には2種類あり、休息による回復と、積極的に動き回復させるものがあるようだ。詳しくは聞いていたため、知りたい人は直接院長に聞くことをお勧めします。

3日目の座学はないため、食事時間より交流会となった。今年もM指導員のヘラが炸裂!しかし、今年は伏兵T先輩が出現!そのM指導員ヘラさばきに妨害が!というより親切心の逆効果ですかね。先輩のおかげで今年も楽しく飲めました。気がついたら昼間の練習時間より長い9時間近くの内臓鍛錬を行った。
もちろん、この晩も日付変更線はまたぎました。

4日目
 最終日は半日となるため、3日間のおさらいとさらに、小架二路と十二形抱を行った。十二形抱については、開門拳社に入会当時の初合宿で習ったため、その当時での自分の容量では、処理できず忘れていましたが、現在でも容量が少ないながらもなんとか処理できそうです。失伝しないよう努力します。

 今回の合宿に参加させていただき、今後の練習方法の見直しや2日目に教わった連手拳では、やはり自分に足りないものが発見できそうな気がしました。先生も言われておりましたが、好きな套路ばかりでなく、あまり似合わない套路や苦手な套路にも自分の修正点があるとのことを聞き、自分の中で失伝しないよう努力していきたいと思います。

 最後に、暑い中ご指導いただいた服部先生・森指導員 ご指導いただきありがとうございました。
 お疲れ様でした。
 今後ともご指導、よろしくお願いします。
 一緒に参加されたみなさんお疲れ様でした。これからも一緒にがんばりましょう。

本部教室 進藤宏昭




●老架子の架式解説。



 今回の合宿は、都合上初日と二日目しか参加できなかったため、その分しっかり練習してやろうという気持ちで臨みました。
 初日の練習の前半は、軽く体をほぐした後、老架子という套路を3回行いました。
 これは通常2分もあれば終わるような套路なのですが、腰を通常より落として、一つ一つ定式で止まって、というやり方で行うのが今回のやり方です。とてもきつくてシャツはびしょ濡れになりましたが、とてもためになりました。
 別にこれを一回やったからといって、すぐに功夫が目に見えて上がるということは全くありませんが、とても自信にはなりました。二回目のときは、「ダメだ、これは絶対途中で吐く」と思ったものですが、「ダメと言っているうちはまだ大丈夫」の格言のように、耐え抜くことができたからです。これは、練習をしていく上で、古臭いかもしれませんが、必要な「根性」が付いたと思います。「あの練習に比べれば、まだ楽だ、もっと頑張れる」と。

 二日目は、連手拳という套路を学びました。自分は、単招式にせよ、套路にせよ、動作が縮こまってしまうという問題が以前より先生に指摘されてきましたが、まだ直っていません。縮こまるという癖を補正するため、この連手拳を学ぶことになりました。
 この連手拳は、実際にやると思っていた以上に面白い套路でした。体をかなり伸びやかに使うことが要求され、また伸びやかに使わなければ出来ないので、まさに自分の抱えていた問題を解消するにはもってこいの套路であると感じます。

 合宿では、一通りの形をなんとか覚えたというところまで行き、まだ形を追うのが精一杯という面はあります。今後、自宅や教室で練習を続けるうちに身法も出来るようになり、そのときには自分の癖も解消できているのだろうと思い、練習に励んで行きたいと思います。

 最後に、初日と二日目だけという中途半端な参加を許していただいた服部先生に、改めてお礼を申し上げます。
 また、二日間のご指導、ありがとうございました。

本部教室 植木武志



●二十四連手拳・双羊頂〜一歩頂肘

●二十四連手拳・躍歩四拳

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