2004年夏合宿レポート・3



八極拳をはじめてから、初の合宿参加である。テーマは「八極拳の体をつくる」。
八極拳の体とはなんだろうかと疑問に思いながらも、とりあえず参加しようといった感じでの参加だった。そして、前情報も全くなく、期待と心配が入り混じったような気分であったのを覚えている。
合宿の4日間に行った練習は、老架子、連手拳、槍、小架二路、扶手、十二形抱と多種にわたり、覚えるのが大変だった。それでは、それぞれの練習の感想を報告させていただきます。

●老架子
到着後にGWに学んだ老架子を小一時間かけての練習。いつもは数分で終わる老架子もこれだけの時間をかけて行うと、かなり厳しい。しかも、先生の「いつもより低くしてください」の言葉。
頑張ってはみたが、足は直ぐに笑い出してしまった。
先生「今の半分の時間でも、毎日やれば強くなりますよ」とのお話に納得はするものの、そこまで自分を厳しくする事が出来ない自分がいる。私が小学生のとき、習字の先生が色紙に書いてくれた『自勝者強(自(おのず)に勝つ者は強し)』と言う言葉、そのまんまだなあと思いつつ、成長していない自分に反省です・・・。

●連手拳
初日の練習後に、単打と四朗寛の中間に当たる套路と聞いて、ぜひ覚えたいと思った。
しかし、実際にやってみると慣れていない動作もありなかなか難しいものがあった。
正直、記憶力に乏しい私には、やっては抜けて、やっては抜けての繰り返し。
周りに置いていかれないように、休み時間にも、周りの人を巻き込み教えてもらう始末である。
しかも、初日に先生に単打を見てもらい、「膝が硬い」と御指摘頂いたにもかかわらず、練習中は「膝が立ってるよー」と言われてしまう。なにもかもがいまいち。
今後は、単打のレベルアップのためにも、また、四朗寛を学ぶ前準備として、連手拳を練習していきたいと思う。特に膝に注意して!!

●槍(六合花槍、六合大槍)
GWに学んだ六合花槍のおさらいである。S藤師兄指導の下、細かい動作を教えていただいた。
しばらくの間、槍の練習をさぼっていた私には最適のおさらいであった。
忘れていた事なども思い出し、大変ありがたい内容で、今後は忘れないように練習しようと思う。
六合大槍に関しては、GW以来の練習であった。おかげで、周りについて行くだけでいっぱいいっぱい。
まだ、練習するのは早いのかも??と思いしらされた。
それにしても、S藤師兄の大槍はすごいとしかいいようのないものであった。

●小架二路
連手拳が思った以上に早く終わってしまったためか、小架二路の練習を行った。
私としては、小架一路しか知らない内に、老小架一〜三路を学んでしまったので、今の小架二路とはどんなものだろうかと
興味があったので、これ幸いと言わんばかりに飛びついて練習させて頂いた。
老小架二路と似ている部分もたくさんあり覚えやすかった。しかし、動作が大きい分、自分で動作していて気持ちの悪い動作も、まだまだたくさんある。この気持ちの悪い動作を少しでも気持ちよく出来るように練習を続けていこうと思う。

●扶手
二日目の夜の座学の代わりに練習が始まった。狭い部屋ではあったが人数も少なく、それほど支障はなかったように思う。がっ、しかし、物覚えの悪さがここでも出てしまう。
私の相手をして頂いた人には申し訳ない気持ちでいっぱいである。

●十二形抱
最終日の最後に、とどめとばかりに始まった套路。行劈拳と同程度の長さのため覚えられたかと思いきや、自分一人で練習をしてみると、最初の動作でSTOP。
おかげで、合宿後の初本部練習では、合宿参加者を捕まえての十二形抱のおさらいであった・・・
この套路は八極拳を学ぶ上で、どんな位置付けなのかよく分からないが、自己失伝しないよう思い出したときには練習をしようと思う。

●練習以外・・・
座学後の飲み会では、旅の恥は掻き捨てと言わんばかりに、飲んでしゃべくってしまった。
正直、あれで良かったのか甚だ疑問だが、服部先生に「ムードメーカー」と言われたので良かったとしよう。(本当に良いとして良いのか????)
でも、焼きそばのときは粗相を致しました。あの油のおかげで太ってしまった方は、一緒に対練を行いましょう。あの油分のカロリー程度の汗を流しましょう。練習にもなりますし。

最後に、服部先生、森指導員、御指導ありがとうございました。そして合宿参加者の皆さん、おかげさまで楽しく、そして実のある夏休みを過ごすことが出来ました。
また、たくさんの套路を合宿の4日間で何とか順番まで覚えられたのは、先生の教え方、それに合宿に参加された皆さんのおかげです。本当に感謝しております。今後も見捨てないで下さい。
今後も、御迷惑をおかけする事になるかとは思いますが、皆様よろしくお願いいたします。

本部教室 田中裕一



●姿勢を細かく直していきます。



 今回の合宿は、去年のように嵐による電車の遅れなどトラブルはなく、予定していた時間から開始することができました。
 自分に甘い私にとって、初日にひたすら行われる、站功、基本功は、根性が鍛えられる数少ない機会であり、合宿中で一番大事な部分と認識しています。
去年は嵐のため、合宿所への到着時刻が遅れ、この時間はほとんど削られてしまいました。
 站は、主に老架子の中で行われました。架式はいつもより低めにとり、一動作毎に、長時間停止、そのため、筋肉の限界が、すぐにおとずれます。
 そんな時でも、ペース配分など考えず、全力を出しきることにより、限界の域値を上げる。そんな講義で聞いたことが頭をよぎります。他のことはつらさのため、頭が働かず、その後は気合いでのりきりました。

 その後、筋肉疲労のピーク時に行われた套路では、バランスをくずしやすい欠点が大きくあらわれました。
先生から指摘があり、自分でも深く認識した欠点で、わかりやすいものなので、今後のテーマを下半身を鍛えバランスをよくすることに決めました。

 今回の合宿は、今後のテーマもきまり、初日の站をやりとげた達成感も得られ、たいへん充実した合宿になりました。

最後に、今回、たいへんお世話になりました、先生や指導員、他の仲間のおかげでたのしく4日間の合宿を過ごすことができたことに深く感謝いたします。

本部教室 新井康之




 八月の十四日から四日間、八ヶ岳スポーツセンターで毎年恒例の開門拳社の夏合宿が行われた。
今年のテーマは「八極拳の身体を作る」そのテーマが原因なのか、今年の参加者は異例の少人数だった。開門拳社の夏合宿の定番と言えば初日に行われる「辛い稽古」である。「今年はどんなモノを用意しているのだろうか?」そんな不安と期待を抱いていた。

 一日目
 まず「架子」という今年、呉氏開門八極拳七世宗家、呉連枝老師が来日され行われた講習会で学んだ、現在の小架の原形になっている套路から始まった。架子という套路自体は流すだけならば一分もかからないとても短いものである、だがその時に行った架子は架式が変化するたび、しばらく架式を維持し止まる、動いてまた止まる、その繰り返しである。
 短い套路が気が遠くなるほど長く感じる、そして約三十分かけて架子を一回やり終える。達成感と安堵を感じた次の瞬間、「はい、もう一回。」服部先生の声が静かな体育館に響いた。
 一瞬自分の耳を疑ったが、間髪を入れずに二回目が始まる。今度は一人一人の架式を服部先生が直していく、そして直し終えると次に行くというように進んでいった、少人数で、直される人数は少なく、その時間も長いものでは無いはずだが、脚は悲鳴をあげ、ひざは笑う。
 しかし、そのような状態だからこそ感覚的に普段より強く意識出来る部分もあり、架式をしっかりと作るという以外にもこのような練習が必要であると感じた。
 それを終えるとそれまでに言われた部分を注意しつつ、それまでよりも短い時間で架子をもう一度通した。架子を終え、早くも疲れきっていたが「合宿に来たのだ!!」と強く実感した。架子を終え小休止の後、一人ずつ単打を行った、そして各々の修正すべき点、弱点を指摘してもらう。普段、気が付く事のない所を見てもらえる、とても良いチャンスだった。
 単打が終わると槍を少しだけ練習し、初日の稽古は終わった。

 夜の座学は「練功口訣」と「八極内勁定型之図」の説明を中心に行った。練功口訣は以前にも教室で聞いている物ではあったが、そこに含まれている意味が深いものであることを痛感した。
 そして「八極内勁定型之図」は初めて学ぶことができたが、その理論を表面的に見た感想で言えば「数学的な理論」であるという印象が強かった。表面的なものはそこまで複雑では無いが、それを真に理解し、体現出来るようになるということは雲を掴むような話ではないだろうかと初めてながら感じた。
 座学を終えると宴会、普段教室の違う人たちとの親交を深め、服部先生から呉連枝老師の話なども聞かせてもらえ、とても楽しい時間を過ごすことができた。

 二日目
 生憎の雨だったが、内功五法を少人数で教えてもらい、気持ちの良い朝を迎えることができた。
 午前中の練習は対練からはじめ、歩法。基本功と身体を徐々に慣らしていき、今回の合宿で主として行う「連手拳」の前半部分を行った。連手拳は今までに学んだことのない套路だったのでとても新鮮に感じた、見た印象としては「跳躍動作があり、伸びやかで美しく、気持ちの良さそうな套路」であると思った。
 個人的に肩が力み滞りやすく、動きが小さくなりがちな自分としてはとても興味のある套路であった。連手拳を覚える上で苦労したのはいきなり抽別子が入る等「急な方向の転換」が多いことと動きが大きいという特長だけに手だけの動きとか、脚だけの動きになりやすく「全身一致の難しさ」を感じた。

 午後の練習は連手拳の後半を中心に四封四閉の対練と小架二路を行った。連手拳はこの日の午後に流れだけは最後まで学ぶ事ができた。
 四封四閉の対練は相手が投げようとする力に逆らわずに回転して投げる、というのをお互いにそれを繰り返すというような練習で、大事な事は身体を密着させ、無駄な力を使わない事なのだが、投げようとするときにどうしても肩が力んでしまうのを感じた。
 小架二路は剛の風格のある短い套路であるが、今回は主に細部に気をつけて学ぶことができ、とても勉強になった。

 二日目の夜は三日目にやる扶手一路の予習、発力は行わずに套路の流れを予習しただけだったがそれが終わると全員の額には汗が光っていた。

 三日目
 二日目同様、内功五法を行い、良い気分で朝を迎えられた。午前の練習は「連手拳」の復習を中心に行った。前日の記憶を探りながら行い、細かい部分に注意しつつ練習した、特に最初の方にある揺膀跨の動作は全身の一致の感覚を得るのが難しいので、ゆっくりとじっくり練習した。
 午後の練習は前日復習した扶手一路の練習から始まった。扶手は短い対練套路で後半は対打と同じで、以前習った事もあり覚える苦労は無かった。本来は目にもとまらぬほど素早く行う套路であるが、今回はゆっくりと相手に合わせるように行った。扶手を練習し架式の安定と重心をしっかりと落とすこと重要さを強く感じた。
 扶手一路を終えると槍を行う班と連手拳を復習する班に分かれて練習を行った。私は槍を練習した、今までにも槍をやったことがあったが、「槍と徒手とはここまでも感覚が違うのか!?」と思うほど、槍の先にまで力が伝わらないのと肩が力んでいるのを感じた。服部先生も常々言われていることだが「武器術は徒手の弱点が、よりわかりやすく現れる」という言葉を痛感した。

 三日目、最終日の夜は座学は無く、長い宴会になり、色々な話に盛り上がった。

 最終日
 今までの復習、連手拳を中心に十二形抱という短い套路を初めて学んだ。十二形抱はその名の通り、六大開の「抱」の特長を強く感じる事のできるものだった。
 今回の合宿は少人数だったという事もあり、とても内容の濃いものに感じた。今回学んだ連手拳は大きく伸びやかで跳躍動作などもあるが、八極拳の風格を色濃く残したとても良い套路だと感じた、個人的にも好みであり重要な套路になると思う。
 そして扶手や四封四閉の対練など、普段の教室ではできない練習ができた事は嬉しかった。座学の内容は深い物で、とても勉強になったが、それ以上に体外・体内の感覚や心理的な部分などの要求があり、「それを短い言葉で表現できている」という所に先人の知恵の深さと漢字という長い文明が作り上げた文字の素晴らしさに少しだけ触れられた気がした。
 最後に、的確で細かく、熱心に指導をしていただいた服部先生と森指導員には深く感謝致しております。ありがとうございました。

大森教室 高久慎司




●六合大槍



平成16年8月14日(土)
 今日から4日間にわたって夏合宿が、昨年と同じ八ヶ岳スポーツセンターにて行われることとなった。八ヶ岳スポーツセンターは、最寄り駅の小淵沢駅から少し離れている点を除いては、気候、宿泊設備、食事及び体育館などが充実した場所であり、ここで合宿するのが楽しみになっている。

合宿の初日は、昨年までは身体をほぐす意味で基本功に時間をかけ、回数もたくさん行っていたが、今年はゴールデンウィークに呉連枝老師の講習会において学習した「老架子」について腰を落とし、一つ一つの動作を確認しつつ、時間をかけて行われた。ここでは自分が普段、腰が落ちきっていないことが痛感され、他の皆さんも腰を落とすのに苦労していた。

その後、一人一人が「単打」の表演を行い、套路を通じて特に注意すべきポイントを指摘していただき、指摘されたポイントをイメージして練習を行うように課題が与えられた。自分の注意点は自分ではわからないが、外から見てもらい注意点を指摘されることは重要なことだと思った。
練習が終了し、夕食後の座学では、八極門で遵守しなければならない8のポイント、発力に至るまでの学ぶ過程、「内在定型之模式図」についての学習が行われた。ここで印象深いのは、発力に至る学び方が整理されていたことであった。

平成16年8月15日(日)
 午前は「老架子」を復習するとともに、今回の参加者の大半は「単打」までの学習者であることから「連手拳」を、午後は基本功を行った後に「連手拳」と希望者対象に「六合花槍」の2班に分かれて学習することとなった。
 八極拳の套路学習においては、架子、単打(対打を含む)、四郎寛の流れを基本に、「連手拳」、「太宗拳」などは補助套路として位置付けられているが、「連手拳」は、三世呉栄(「栄」は当て字)が嫁ぎ先である長拳門の「太祖
拳」を孟村に持ち帰り、取り入れられた套路である。套路の構成は単打に近く、動作は大きく、伸びやかな「長拳」や「劈掛拳」に近く、単打の視点を広げていく意味で役立つ套路と思われる。
「六合花槍」については、歩法など身体の使い方が難しいことから、套路を体験してもらい、希望者を対象とした。

今日の座学については、翌日に「扶手一路」を取り入れることになったため、急遽「扶手一路」の講習会となった。「扶手一路」は、構成は「対打」であるが、套路の前半に関節技に対する破法が組まれている套路となっている。

平成16年8月16日(月)
 今日は、練習に「四封四閉」と「扶手一路」が取り入れられた。「四封四閉」とは、投げ技に対する返し技を攻守交互に繰り返す練習となっており、体の動かし方を注意しなければ目が回ってしまい、練習中、目が回ってしまう人が出ていた。
また、昨日の夜に練習した「扶手一路」も行った。「扶手」には一路から四路あり、参考に「扶手二路」を見せることとなった。「扶手二路」も構成は「対打」であるが、「扶手一路」とは套路の前半部分の違い
と大纒の変化になっている。その後、「連手拳」の練習に入り、一人一人の動作を確認しつつ、注意点を指摘しながらの練習となった。

平成16年8月17日(火)
 今日は、合宿最終日。ここでは、「小架二路」、「十二形式抱」を練習することとなった。「小架二路」は、「小架一路」の変化であるが風格がまったく違ったものであり、また、「十二形式抱」には十二路あるが、一路一路が非
常に短い套路になっており、初心者も学びやすくなっている。
 最後に、参加者全員で「連手拳」を練習して、今年の合宿の締めくくりとした。

〔所感〕
 今年の合宿は、過去一番少ない参加者数であったが、大勢で参加する合宿とは違い、一人一人の練習を見渡せることができ、一人一人と色々なことが話せることができた。
また、皆で食事をしたり、深夜遅くまで話し込んだりと合宿でしかできないことがあり、合宿に参加したい理由となっている。
来年の合宿への参加を楽しみにしつつ、レポートを終わりとします。

本部教室 森 豊和







今回は、近年まれにみる少人数の合宿となりましたが、その分、参加者一人一人を細かくチェックできたと思います。
一人当たりの身体の負担は大きかったと思いますが、得る物も多かったと思います。参加者の皆さん、お疲れさまでした。

開門拳社代表 服部哲也







おまけ






宿舎の屋根の下に、神社の鈴のようなものが…

壊れた土器みたいです。

スズメバチの巣だ!もちろん退治済み。

そんな自然に囲まれた合宿所。

夕食は必ず固形燃料使用の暖かいもの&デザート完備。

すいか付き。

えび。海鮮焼きです。

最終日の夜は、鉄板焼きの会です。鉄板奉行。

誰にも手は出させません。

わくわくしながら待つ面々。

お疲れさまでした。
また来年の合宿をお楽しみに。