2010年 呉連枝老師 八極拳講習会レポート
例年同様、今年も実施する全ての講習に参加しましたが、武器の講習、特に剣の講習が思いの外厳しく、半日だけの参加だったにも関わらずかなり疲労し、次の日の徒手初日は体が強ばりガチガチの状態での参加となり、3日間通しで続けられるか少し不安を感じながら徒手講習会の初日を迎えました。
今年の徒手講習の中心は単打と対打です。その単打の技で印象深いのは平地略でした。上下に分けて崩す動作は何度も見ましたが今回は上下に崩しつつ外に開いていく、通背式のように使うやり方が印象的でした。
以前も同じことをしていたような気もしますが、通背式は掌で打ち込む動作だと思っていたため、平地略を使われたことは、なるほどと思いました。
対打で教わった印象深いことは、今までは対打はお互いに技を出し合い、隙があればそこを突く、相手が安定していれば崩すといったように、お互いの技量を試し合いながらやるものだと思っていましたが、呉連枝老師は、対打で大事なのはお互いに合わせることであり、対打の技を練習する時は抜き出して研鑽しなさい、といわれ、自分が勘違いしていたことに気がついたと同時に、なるほどとすっきりしました。
今まで対打を練習をしていて崩したり崩されたりしていると、どうも息が合わなくなり最後はグダグダになることもあり、もやもやしていました。今回はっきりと練習方法を教えて頂き、思い切って練習出来ます。
今年は以前から教わりたかった扶手を教わることが出来ました。例年の講習会だとざっと流してお終いになることが多かったので、細かく教わりたいと思っていました。
実際に色々教わってみると一つ一つの動作が今まで練習してきたものと違い、とてもためになりました。特に扶手の”扶”は手を当ててささえる、という意味であることを改めて実感出来ました。
対打のように発力を繰り返す対練と大きく異なり、攻め側の力を滑らかに受け、かつ俊敏に攻撃する動きは扶手の重要なポイントであることを、呉連枝老師の動きを目の当たりにして強く感じました。
攻防ともに常に放鬆出来ていないと扶手にならないことがとてもよく分かりました。扶手は上手になりたいですが、この放鬆は扶手の練習をたくさんやっても養えるとは思えません。普段の練習の中に扶手のような動作を意識しつつ、そして放鬆で来ているかよく考えて取り組み、上達していきたいと思います。
例年の講習会では呉連枝老師に合わせて動き、老師を観察しつつ、都度都度説明を聞いたり、時には板書をして頂き、お話を聞くといった流れが多かったのですが、今年は板書の座学はなかったり、全体で通して套路をやった後、良くない個所を教えてくれたりといった流れで、新鮮な気持ちでした。もしかしたら前月行ったヨーロッパの影響があったのかもしれません。
教えて頂いたことはとても身になった気がします。
今年は東京講習会10回記念なので最終日の午後から記念表演が行われました。表演会に参加するものは私も含めて午前中から休憩時間になると表演を練習。人前で初めて表演するものもいたので、空気が少しづつ緊張していくのを感じられました。
その空気を呉連枝老師が感じたのか、「気になるようなら今それぞれの套路を見てあげるかどうか?」という話になり、呉連枝老師を前に表演のリハーサルをやることになりました。
主賓の前でリハーサル?と思いながらもいざやってみると進行も表演も思い通りに進まず、意外とバタバタし、結局やって良かったと思いました。昼の休憩が明けて暫くするとお客様が続々といらっしゃり、表演会の時間も近づき、緊張感も高まってきました。
服部先生の挨拶で始まった本番の表演会、普段あまり合えない他の教室の仲間や、関西の同門の方々の表演に刺激を受けたり、ゲストでいらっしゃった先生方やその門人の方々の表演に目を見張ったりと、あっという間に時間は過ぎていきました。
服部先生の純陽剣はいつにも増して、繊細でそして鋭く一挙手一投足全て見入ってしまいました。最後の呉連枝老師による演武”架子”は、表演会のラスト、そして講習会のラストを飾るに相応しく、迫力があり息を飲むほど素晴らしいものでした。
このように今年は例年とは一風違った講習会でしたが、とても充実した思い出深い講習会だったと感じています。教わったことを身に付けるよう復習し、感じたことを心に留めさらに精進していきたいと思います。
最後に講習会をサポートしてくれた同門の皆様お疲れさまでした。そして来日してご教授下さった呉連枝老師、講習会を開催し運営して下さった服部先生、本当にありがとうございました。
本部教室 山崎 義之 |