開門拳社会員で、近年恒例になっているこの時期の講習会を生活の節目と
してる人も多いのではないでしょうか。
一門の宗家が直々に国境を越えわざわざ講義して下さる。この事の重大さを胆に命じ今回のレポートを務めたいと思います。
とはいえ私自身は、例年と同じく全日程の参加ができず、六合花槍初日、八極拳中級の二日、三日目のみの参加です。
不完全な内容必至ですが限られた時間に感じたことを精一杯記したいと思います。
先ず、呉連枝老師より「槍先を不用意に人に向けるな」と、安全に気を配る事から六合花槍講習会は開始されました。
そして老師と共に套路を行い、受講者に一言
「精気神がこもってない!」
老師は全講習会一貫して意識を持つ重要性を説いてくださいました。
「精気神が無ければ動きが醜い」と…
六合花槍に限らず呉老師の諸動作というのは、今更私が説明するまでもなく快活で均整のとれた綺麗なものです。
今回、老師が六合花槍・四郎寛を表現する時に「漂亮」という言葉をよく聞きました。 そして見た目の美しさに気をつけて行うことを指摘されていました。 技の用法や発力方法などを教えていただくと、とかく力任せの動きになりがちです。特に歌訣になぞっての講義は、歴史的な重みを感じる緊張も加わり、一挙一動正確に行わねば!との思いから尚更、力みと脱力の戦いが始まります。
しかし套路全体のまとまりを意識することで、自ずと脱力し身体の内外にも視野が広がる感覚を覚えました。
槍の基本功が舞花だけだったのも「漂亮」を意識して「放鬆」を体現できるようにする為だと気付かせてもらい 呉連枝老師の深慮に一礼いたしました。
呉老師より六合花槍、四郎寛の講義を受けたのは今回が初めてではありません。同じ課題の講習会では当然、重複する内容も多いのですが、私が受ける印象は毎回違い、新鮮味を損なうことはありません。
ここが呉連枝老師による講義の魅力であり、私が抱く最大の疑問なのです。 ただし教義の例えやその解説資料が毎回違います。それは受講者にとってとても重要で、イメージを掴むきっかけになり、理解を更に浸透させる効力があります。
今回、老師が用いた資料に、故・呉秀峰公が著された「技撃六字訣」なる箇所がありました。意識から起こる威風を纏い挑む姿勢を教示し、攻撃と防御の所作を簡潔に表したものでした。
まさに「精気神」を大事にして、細部に渡る動作解説を、講義と実演で説明してくださった呉連枝老師の情念を感じる思いがしました。
そんな老師の精神をどれだけ自身で飲み込めたか不安ですが、確実に意識を持っての練功を重ね「精気神」への理解を深めていきたいと思います。
また今回は恐れ多くも呉連枝老師に挑みかかり、滑稽な形でいなされた体験もさせていただき、今後の習練意欲への励みともなりました。
この講習会の記録を終え、2004年より書き綴っていた私のノートも頁がなくなりました。 学ぶ者としての区切りをつけ更なる高みを目指し、挑戦し続けていきたいと思います。
そして最終日の締めは「呑食騒」を伴う歓送会です。呉連枝老師の歌声も高らかに夜は更けていきました。
ともあれ濃い内容で生きていく事の楽しさを改めて実感した今回の講習会でした。呉連枝老師、ありがとうございました。
そして充実した時間を提供して下さった、服部老師ありがとうございました。 影で活躍されていた教練の皆様、感謝しています。お疲れ様でした。
本部教室 籏谷 太 |